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トッレヴィッラ

フィロキセラ禍を乗り切るために結成された協同組合「トッレヴィッラ」

ロンバルディア州パヴィア県にあるトラッツァ・コステ。オルトレポ・パヴェーゼと呼ばれる地域に属するこの小さな村では、古く紀元前からワイン造りが行われてました。

19 世紀、新大陸からやってきた害虫フィロキセラによってヨーロッパ諸国は震撼しました。オルトレポ・パヴェーゼで最初にフィロキセラが発見されたのは1889 年。それからわずか10 年あまりでこの地のブドウは壊滅的な被害を受けることになりました。

ブドウ栽培に携わる専門家たちは、台木にフィロキセラへの耐性を持つアメリカ種のブドウを使うことで被害を防げることを発見。ただちに対策を打ちましたが、経済状況は深刻であり、特に農村部の疲弊はすさまじいものがありました。

困難な状況が続く1900 年代初頭、オルトレポ・パヴェーゼの一部の名士や代議士、教会の司祭、土地を所有する中流階級を中心に、ブドウ栽培農家たちを集めいわゆる「協同組合」を結成する動きが始まりました。組合は「銀行」の役目も果たし、栽培農家たちのバックアップをする機能を担っていました。

1907 年5 月12 日、「レトルビド&トラッツァ・コステ協同組合」が発足。エミリア街道沿いに建設された醸造所はアールヌーボー様式の建物で、発酵用のセメントタンクと地下には熟成のためのオーク樽を設置、1908 年から運営を開始しました。初年度に組合員たちが醸造所に持ち込んだブドウは約50 万kg。黒ブドウ100kg につき15 リラが支払われたということです。創業当時のワイン造りはすべて手作業でしたが、第一次世界大戦直後に初めての「機械」が導入。それは鉄製のローターと滑車を持つ圧搾機でした。

1982 年、若き醸造家グエリーノ・サヴィオッティを迎えた組合は、ワインのブランドネームだった「トッレヴィッラ」を組織の正式名称へと変更。最先端の設備を次々と導入し、ワインの品質を向上させていくこととなりました。

州都ミラノへの一大ワイン供給地「オルトレポ・パヴェーゼ」

ロンバルディア州南部、ポー川の南側、アペニン山脈にさしかかる丘陵地帯は、「オルトレポ・パヴェーゼ」と呼ばれる古くからのブドウ産地で、現在ロンバルディア州の半分以上のワインを生産しています。昔は「質より量」のバルクワインを造る産地でしたが、近年は収穫量を抑え品質の高いワインを生産しています。

このオルトレポ・パヴェーゼでトッレヴィッラの組合員たちが管理する畑の総面積は650ha と非常に広大。
コデヴィッラ、トラッツァ・コステ、モンテベッロ・デッラ・バッターリア、モルニーコ・ロザーナ、ボルゴ・プリオーロ、レトルビド、モンテセーガレ、ロッカ・スゼッラ、ゴディアスコの9つのコムーネに約260人の組合員によって管理される畑はすべて、アルプス山脈を一望できる丘陵地帯の中腹にある南向き。土着品種から国際品種まで多くの品種を栽培しています。1999 年からは醸造責任者グエリーノが指揮を執り新しいプロジェクトに着手。ミラノ州立大学と産学連携を取り、組合員たちの全ての畑の土壌や傾斜などを綿密に調べ上げ、ブドウの品質向上を図っています。