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ベアト・バルトロメオ

ブレガンツェの美しい丘で営む協同組合「ベアト・バルトロメオ」

ブレガンツェは、ヴィチェンツァ北東部に位置するアジアーゴ高原の麓にある人口約9000人のコムーネです。ヴェネチア出身の建築家アントニオ・ディエドによって19世紀に建てられた、高さ90mの鐘楼を中心にした美しい街並みが印象的です。町周辺のなだらかな丘陵地帯では1000年以上前からワイン造りが行われてきました。

この美しい町に協同組合が結成されたのは1950年2月14日のバレンタインデー。ブレガンツェワインの啓蒙を目的とし121人のメンバーから始まった組合は、13世紀にこの地の発展に大きく寄与したカトリック司祭「バルトロメオ」に敬意を表して「ベアト・バルトロメオ・ブレガンツェ」と名付けられました。

組合の積極的な活動によって1968年にブレガンツェはDOCに認定。1970年には地下15mに大きなセラーを設置し、同時に新しいボトリング施設や醸造設備を導入しました。

現在、組合の構成メンバーは700人を超え、生産量はブレンガツェDOCの総生産量の70%を占めるようになりました。ただ単に生産量を増やすのではなく、一株当たりの収量を抑えて高品質化を図っています。組合員たちは3年ごとに厳正な審査を受け、優良な畑と認められないと組合から脱退させられます。組合では、組合員たちへ直接農業指導を行うだけでなく、醸造家の育成やブドウ品種の分析なども行い、ブレガンツェDOCワインの発展に努めています。

温暖な海洋性気候のブレガンツェですが、土壌やミクロクリマに応じ、それぞれに合った品種を栽培しています。特に土壌は場所によって大きく異なり、主に火山性土壌と堆積土壌(石灰質)の区画に分かれます。DOCブレガンツェの主要品種であるフリウラーノを中心に伝統品種のヴェスパイオーロを栽培。近年ではメルローやカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールといった国際品種の栽培も積極的に行っています。

醸造に関しては、オルトレポ・パヴェーゼで長くワイン造りに携わってきたトレヴィーゾ出身の醸造家エルヴィオ・ファラットを中心に行われます。地元で愛される親しみやすいワインから、長期熟成を目指した重厚なワインまで、ブレガンツェの個性を表したワインが造られています。

伝統の甘口ワイン「トルコラート」を生み出すブレガンツェの土着品種「ヴェスパイオーロ」

ヴェスパイオーロ(ヴェスパイオーラ)はブレガンツェ原産のブドウ品種で、DOCブレンガンツェではフリウラーノ種とともにもっとも重要な品種のひとつとされています。ブレンガンツェ以外でも栽培されていていくつかのシノニム(別名)を持ちます。例えばシチリアで「ヴェスパローラ(Vesparola)」と呼ばれています。

ヴェスパイオーロの語源はラテン語の「Vespa=スズメバチ」から来ています。これはこの品種が放つ高い糖度と甘い香りにスズメバチが誘われてやってくることから名付けられたと言われています。

実際にヴェスパイオーロは、完熟すると非常に糖度が高くなりますが、比較的高い酸度も維持する変わった品種です。その特性からこの地方では古くからパッシート(陰干し製法)を用いた甘口ワイン「トルコラート」の原料とされてきました。現在では土着品種や固有品種への原点回帰の流れもあり、アロマティックな辛口のスティルワインやスプマンテに仕上げる生産者が増えています。

ピエモンテやロンバルディアで栽培されている「ヴェスポリーナ(Vespolina)」と混同されることがありますが、こちらは黒ブドウでヴェスパイオーロとの関連性はまったくありません。