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ピアンカネッリ

人口わずか330 人の小さな村「ロアッツォーロ」にある小さな生産者

ピエモンテ州アスティ県ロアッツォーロ。人口わずか330 人のコムーネですが、ワイナリーの数は9件もあります。

この地で伝統的に植えられているブドウはモスカート種。糖度が非常に高くなる品種で、アロマティックな香りが特徴的です。かつては石垣の「裂け目」に植えられていたこともあるそうですが、現在では計150ヘクタールほどの南向きの斜面の畑で大事に栽培されています。ロアッツォーロの自家用ワインをきちんとした「製品」にしようと最初に試みたのはジャンカルロ・スカリオーネという人物でした。1985 年、ジャンカルロは祖父に習ったやり方で造った甘口ワインをボトルに詰め、販売を開始。ワインは飛ぶように売れ、ワインコンクールでも賞を受賞するようになりました。ジャンカルロに続けとばかりに、村のブドウ栽培農家たちは自家用ワインの「商品化」を目指しました。そのうちの一人がジョゼッペ・ライオーロでした。

ジョゼッペの父ドミニコ・ライオーロと妻テレサは、第二次世界大戦の後、ブドウ栽培を開始。泥だらけになりながら荒れ果てた畑を耕しました。
ドミニコたちの献身のおかげで、畑からは素晴らしいブドウが収穫できるようになりました。ジョゼッペは息子のシルヴィオとともに「カッシーナ・ピアンカネッリ」を創業。自家用ではなく販売を目的にワインを造り始めました。ジョゼッペとシルヴィオは地元で愛されるもう一つのブドウ「バルベーラ」からワインを造りました。ふたりの造る「バルベーラ・ダスティ」は村の中でももっとも品質が高く、ピアンカネッリのワインは地元ピエモンテだけでなくイタリア以外のヨーロッパやアジアへも輸出されるようになりました。

シルヴィオらしい、味わい深いワインたち

1996 年に急逝したジョゼッペの跡を継いだシルヴィオは父が残した古い醸造設備を大事に使いながらも、徐々に新しい設備を導入。定温管理が出来るステンレスタンクや仏トロンセ産の熟成用小樽(バリック)を使用するようになり、より現代的なワイン造りを始めています。

設備だけでなく畑での仕事にもシルヴィオの新しい試みが始まっています。すべての畑をエコ・フレンドリーにするために、EU レギュレーションに則った、農薬を使用しないビオロジック栽培へと転換。土地本来の持つ力を最大限に表現できるワイン造りを目指しています。

家族を愛し、物静かで勤勉実直という典型的なピエモンテ人のシルヴィオ。父からワイナリーを受け継いでから20 年、ワインの品質も向上し、いまでは無き父のワインと同じように、どれも素朴ながら味わい深い、誰からも愛されるワインを造っています。